第1章 『聖書は普通の本ではない』

序:「科学の発展したこの時代に神を信じるなんて」と言う人もいるでしょう。しかし、本当にそうでしょうか。ほとんどの会社に神棚が置かれ、家を建てる時には地鎮祭が行われ、プロ野球ではキャンプ前に選手が揃って神社参りをして、優勝祈願します。ある人は商談がうまくいった日に身に着けていたネクタイや下着を縁起かつぎにします。暦や厄年とかを気にします。これは日本だけではなく、どのような文化にも見られる光景です。これらのことから、人間には自然を超越した何者かを信じたい、すがりたいという心が無意識に働いていることがわかります。そんな中で、人間の歴史の中でも最も人間の精神性、社会を導いてきた書物が聖書と言っても過言ではありません。日本は仏教国だから関係ないと言うかもしれませんが、日本であっても、聖書の影響は計り知れないのです。その聖書をひも解いて学ぶことは素晴らしいことであり、確信をもってお勧めできる書物です。

1、聖書は世界で一番…

(1)発行されている

1996年の統計で、世界で年間5億3千万冊が発行されました。数百万冊でベストセラーと言われる本の世界で、この発行部数は驚異的です。ベストセラーになった本は、その翌年には他の本に関心を奪われますが、聖書は毎年、変わらず印刷され続けているのです。文句なしに一番のベストセラーです。しかも、この特別な書としての聖書の存在が、驚くべき長い歴史を貫き続けているのです。

(2)翻訳されている

聖書は何か国語に翻訳されていると思いますか? 世界には5000近くの言語があると言われています(方言など少数部族も含まれる)。その中で聖書はすでに約3000近い言語に翻訳され、いまもその数は増え続けているのです。こんな本は他にはありません。ちなみに、日本でも東北弁のケセン訳、コテコテ大阪弁訳もあります。かの有名なベッテルハイム博士の琉球語訳聖書も県立図書館にあります。仏典の翻訳が40ぐらいだと言われていますから、その数のすごさが理解できるでしょうか。

「その声は全地に響き渡り、そのことばは地の果てまで届いた。」ローマ人への手紙10:18

(3)迫害を耐えた

聖書ほど、歴史の中で時の支配者達から嫌われ、迫害を受けてきた本はありません。それは例えば、3世紀のローマ皇帝による迫害や(ディオクレチアヌスは徹底した迫害の後「キリスト教は滅亡した」という記念碑を建てたそうです)、 ティンデルが作った最初の英語訳聖書に対する迫害(印刷された1800冊の内現存するのは2冊の断片のみ)等常に歴史の中に見られたことです。なぜ聖書は迫害されたのでしょう。理由は様々でしょうが、例えば、聖書が神の御前で全ての人間を等しく尊い存在として扱うことを求めていることや、神の御前で人間は支配者も庶民も皆等しく罪人であるという聖書の人間観…といったあたりが専制的な政治体制からは嫌われたのでしょう。

(4)人類に影響を与えた

しかし聖書ほど人類の歴史・思想・哲学・法律・政治・文化…等々に影響を与えてきた本はないという点には、多くの人が同意するでしょう。太宰治、芥川龍之介、夏目漱石なども聖書を愛読していました。信仰を持っていなくても、勉強のために聖書だけは最低わきまえなければ、と思って聖書と取り組んでいる方も多いのです。

世界の発展はヨーロッパの歴史と切り離せません。西洋の発展は聖書と切り離すことができないのです。世界をリードしているアングロサクソン系の人たちは、もともとは森で狩人する蛮族だったのです。その彼らに聖書が渡り、目覚ましい発展をしてきました。現代の基礎を作った産業革命は聖書主義が要因だと経済学者のマックス・ウェーバーは言っています。

民主主義の考え方、各国の法律、女性の地位の向上、芸術等、全てその根底に聖書の影響を見ることができると言っても過言ではないでしょう。日本も聖書を基盤とする民主主義が西洋から入って来る以前を考えるなら、どれだけ日本に聖書の影響が深いかわかります。

あるアメリカの討論会で進化論者が聖書を信じる学者に対して、討論会を申し込みました。進化論者は聖書に対する反論を並べたてて攻撃しました。そして、「われわれに対して反論してみろ」と強気に言いました。すると、聖書を信じる学者が「よろしい」と言って、合図を送ると、たくさんの人がスタジオに登場しました。その人たちは元麻薬患者、元ギャング、借金、酒、ギャンブルで家族や仕事を失い、人生を狂わせた人たちでした。彼らがいかに、聖書を読んで、イエスを信じて、どのように人生が変えられたか喜んで証言しました。それを聞いて、「もういい」と進化論者は反論できなくなりました。聖書は科学で説明する書物ではなく、信仰書です。多くは科学的に証明できていますが、たとえ説明できなくても、世界中に人生を変えられた人たちが大勢、存在するのです。

2、有名人の聖書観

(1)ゲーテ

私が獄につながれ、ただ一冊の本を持ち込むことを許されるとしたら、私は聖書を選ぶ。

(2)リンカーン

聖書は、神が人間に賜わった最もすばらしい賜物である。人間にとって望ましいものはすべて聖書に含まれている。

(3)カント

聖書の存在は、人類がかつて経験したうちで最も大きい恵みである。

(4)グラッドストーン

私は95人の現代の世界的偉人を知っているが、そのうち87名は聖書を奉ずる者である。

(5)ルター

聖書は古いものでもなければ、新しいものでもない。聖書は永遠のものである。

(6)ニュートン

いかなる世界の歴史におけるよりも、聖書の中にはより確かな真理が存在する。

(7)ナポレオン

聖書は単なる書物ではない。それに反するすべてのものを征服する力を持つ生き物である。

(8)ディケンズ

聖書はかつてこの世に存在したあるいは存在するであろう書物の中で最高のものである。

(9)ハーシェル

人類のあらゆる発見は、聖書に収められている真理をいよいよ強く証拠だてる。

(10)ガンジー

私の生涯に最も深い影響を与えた書物は聖書である。(ガンジーはヒンズー教徒です)

(11)T.ルーズベルト

聖書を教えないような単なる教育は、無責任な人に鉄砲を渡すようなものである。

3、聖書の成立

(1)聖書は約1600年間かかって書かれました。

その最も古い部分は紀元前1500年頃書かれたと言われます。

これは、例えば日本の古典である「古事記」や「日本書紀」が8世紀のものであることと比べますと、それより2000年以上古いわけですから驚かされます。更に書き続けられた期間が1600年にも渡ることも考えてみますと驚異的なことです。一口 に「1600年」と言っても、例えば、日本では明治維新から約100年余り、アメリカが建国以来約200年余り、ロシア革命から100年たたないうちにソビエト連邦が解体し たことなど考えますと、少しはその「長さ」が実感できる実感できるでしょうか。

(2)聖書は約40人の著者達によって書かれました。

彼らの身分は色々であり、職業も色々、時代も色々、生活した土地も色々でした。彼らは多くの場合互いに無連絡で、互いの著作を知り得なかったケースが多いのです。

(3)聖書には調和と統一があります。

以上のことを考えますと、聖書が今一冊になっているということ自体が驚くべきことではないでしょうか。長い時間・多くの著者…しかし統一した主題で貫かれており、一人の主人公キリストを中心にして記されています。今でも「聖書は誤りの 無い神の言葉だ」と主張されるように、見事に全体が調和しているのです。

(4)正確である

たとえば、ダニエル書5章にバビロンの「ベルシャツァル王」が最後の王となっていますが、ベルシャツァル王の名前は古代文献になく、「ナボニドス王」が最後の王と言うのが常識でした。考古学の世界で聖書は創作だと酷評されていました。しかし、あらたな発掘によると、「ベルシャツァルがナボニドスの息子であり、王権を付与されていたこと、そしてバビロニア滅亡時には、父親のナボニドスは退位しないままアラビアに退いており、ベルシャツァルが帝国を統治していた」ことがわかりました。聖書の記述は正確だったのです。他にも使徒13章の地方総督セルギオ・パウロについて列王記第二19章のセナケリブについても、考古学の常識より、聖書の方が正しいことが判明されました。今、否定されている聖書の記述も、やがて新たな発見によって、ひっくり返るでしょう。

(5)聖書の驚くべき記述

現代にしか知りえない地球観を表現している。

「地を何もない場所にかけられる」ヨブ記26:7

数百年前まで、地球は平らで、地平線の先は滝のようになっていると考えられていました。それを考えれば、コロンブスの冒険は滝に向けて進む、勇気のある航海だったわけです。しかし、聖書はずっと昔から、地球が宇宙に浮かんでいることを表現しています。

「主は地の円のはるか上に座して、地に住む者をいなごのようにみられる」イザヤ40:22

ガリレオ裁判で、聖書はガリレオの「地球は球体」という説を否定しているみたいに思えますが、否定したのは時の宗教的権力者であり、聖書は地球が丸いことを記しています。

「エルサレムは諸国の民の真ん中」エゼキエル5:5

イギリスの研究チームが地球のヘソに当たる場所はどこか?と調べた結果、イスラエルだと報告しています。イスラエルはヨーロッパ、アジア、アフリカをつなぐ場所だと言えます。

※ノアの箱船の設計は、造船技術者の進藤氏が計算した船が最も安定して水に浮かぶ比率(黄金率)とまったく同じだと本人が言っています。

4、聖書の原語

(1)旧約聖書のほとんどの部分は、ヘブル語で書かれています。

(2)新約聖書はギリシャ語(部分的にアラム語など)で書かれています。

私達が手にしている聖書は、この原語から、注意深い学問的な作業を通してでき上がったものなのです。

19787年に英国政府が南洋群島のタヒチへパンの木を栽培するために、100人ほどを送りだしま

した。彼らは「バウンティン号」に乗って島に向かいました。島に着いてみると、そこは自然に囲

まれたパラダイスのようで、島の女性も美しかったのです。彼らは現地の女性と結ばれ、子供を設けて行きました。船員たちは本国からの使命を忘れて、船長に対して反乱を起こして、船長たちを島から追い出してしまいました。

本国からの追跡を恐れた彼らは、現地でできた家族を連れて、イギリスの地図に載っていないピトケーン島へ避難しました。その島に住みついてから、マッコイという人がお酒を造るようになって、秩序が乱れるようになりました。本国から追われているというストレスと、慣れない異国での不便な生活にお酒も入って、お互いに疑心暗鬼になって行き、殺し合いが始まりました。その中で一番強靭なジョン・アダムスという人が最後の英国人になりました。彼と現地の女性たちと混血の子供たちが残りました。

一方で、英国は戦争を始めたため、バウンティン号の追跡ができなくなり、月日が流れました。

それから、30年経って、ピトケーン島に通りがかりのアメリカの船が上陸しました。船員たちは、島の風景を見て驚きました。何とそこには礼拝堂が建てられていて、島の人たちは見たこともない混血の人たちでした。そして、その島の王として尊敬されているのが、ジョン・アダムスという老人でした。

ジョン・アダムスは同僚を失い、絶望していた時、船に残っていた聖書を手にしました。その後、聖書を読み始めて彼は変えられて行きました。そして、子供たちにも読み書きを教え、聖書で教育しました。彼らは教会堂を建て、聖書中心とした共同体を築いて行ったのです。その後、英国はアダム・スミスに恩赦を与え、彼は島の家族たちに囲まれて、生涯を終えました。

この島を変えたのは、一冊の聖書だったのです。・

『聖書はすべて、神の霊感によるもので、教えと戒めと矯正と義の訓練とのために有益です。 』Ⅱテモテ3:16

質問:

1.今まで抱いていた聖書への理解と学んだ今ではどんな変化がありますか?

2.歴史に大きな影響を与えた聖書について知った今、あなたの人生にも大きな影響を与えると思いませんか?

3.神が創造主であるなら、聖書は造られた人間のためにある取扱説明書のようなものです。説明書を読まずに、製品がうまく扱えないのと同様、聖書を知らないと、人生をうまく生きることはできません。あなたは、この取扱説明書をもっと深く学びたいと思いませんか?