私たちの生きるこの世界は罪に満ちていて、社会やコミュニティに入って、人と関われば関わるほど傷ついてしまいます。だからと言って、ハウス栽培の野菜のように、自分を人から隔離して生きるのも得策ではありません。しかし、私たちが受ける心の傷は生命の危機となり、そのため関心が自己に集中してしまい、健全さを失わせて行きます。このトラウマから私たちは回復する必要があります。現代のトラウマ(心の傷)学の第一人者と言われるジュディス・ハーマンは「トラウマの記憶は認知情報処理では消化されない」と言っています。つまり、理屈や説得では無理なのです。頭ではなく、ハートに届くものしか解決がありません。また、「なぜこのようなことが私に起きてしまったのか?」「この不幸と思えることに何の意味を見出せるのか?」そのトラウマ体験に積極的意味を見出せない限り、前に進めないのです。さらにハーマン氏は、「トラウマから回復するもっとも有効なものは、超越者との情緒的、霊的な出会いである。」と言っています。人の慰め、哲学、精神修養ではだめなのです。宗教儀式でもだめです。超越者、つまり、生けるまことの神との人格的な結合、これが重要だと言うことです。(※神学者の言葉ではなく、一般の臨床医の言葉だと言う事に注目です)。トラウマ体験を通して、生ける神を見出す幸い。その出会いを通して、私たちの心の傷が輝く星に変わるのです。